確実に継続して養育費をもらう方法
・養育費に一括で受け取る
・強制執行付きの離婚給付契約公正証書を作成する
まず、養育費を一番確実にもらう方法は、一括で支払ってもらうことです。
ただ、一般家庭で何百万円もの養育費を一括で支払うことが出来る方は少ないですよね。
できる限り良い条件で離婚成立して、かつ確実に継続して最後まで養育費を払ってもらうために、私は離婚公正証書を作成してから離婚しました。
文書作成にあたり、元夫とは約2カ月半ほどかけて内容を調整をしたり、
何度か弁護士事務所へ相談したうえで文書を作成しました。
離婚しようとしている相手と出来るだけ穏便に、
且つこちらの条件を飲んでもらうように働きかけました。
義理の親が入ってきたり、自分の家族の意見を聞いたりと、大変なことは多かったです。
ただお金について信用のない元夫から、確実に継続して養育費を払ってもらい、
離婚後の生活を穏やかに過ごすためにも、離婚公正証書を作成して良かったと思います。
文書の実例も含めて、養育費を確実に継続してもらう方法をご紹介します。
養育費とは?
養育費とは,子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。
一般的には,子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、
衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
子どもを監護している親は、他方の親から養育費を受け取ることができます。
子の親である以上、養育費を支払う義務があるとされています。
ただ、現在の養育費支払い率は決して高くありません。
離婚後から2年〜4年経過して養育費を受け取っているひとり親の家庭は約20%、
離婚後から4年以上経過すると約16.5%になります。(平均養育費は約40,000円程度)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-setai06/02-b16.html
※参考:厚生労働省ホームページ
急いで離婚成立に向けた話を進めるために、養育費や離婚に関わる条件を曖昧にしたり、
口約束だけで終わってしまって、離婚後には「連絡を取りたくない」、
「顔も合わせたくない」などの理由から支払いが滞ることが多くあるようです。
残された子どものためにも、養育費は、確実に貰いましょう。
口約束はNGです。
養育費目安
令和元年(2019年)12月に養育費算定表の改定があり、
以前より多く支払われるケースが増えたようです。
https://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html
※参考:最高裁判所ホームページ
私の場合は2016年に離婚し、当時の給与形態で養育費算出表を目安に支払い額を計算したところ
1〜2万円でした。改定後の養育費算出表を目安にしたところ、2〜4万円が目安額になっていました。
養育費の支払いに強制力はある?
養育費は、『強制執行付きの離婚給付契約公正証書』があれば強制執行が可能です。
公正証書を作成しましょう。
公正証書ってなに?
公正証書とは、公証人法に基づき、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。
離婚公正証書以外に、遺言、任意後見契約、遺産分割協議などの公正証書があります。
公正証書を作成するメリットは?
①証明力
法律のプロである公証人が、内容と作成者の身元を確認して作成しているので
あとから法的に無効になる可能性はほとんどない
②執行力
強制執行認諾条項の内容を含めて作成することで、強制執行の申し立てがスムーズ
③安全性
法律違反がないか確認してから作成され、且つ20年間公証役場で保管されるので、
盗難・紛失・破損しても再交付を受けることが可能
④事実上の効力
法的な文書として残すことで、当事者本人への自覚に効果的
強制執行ってなに?
簡単に言うと、相手の給与や預貯金・不動産などから、養育費の『差し押さえ』をすることです。
例えば元夫がサラリーマンの場合は、1度でも強制執行の申し立てをすると、
預金や、給与からの天引きなどを通して養育費を継続して受け取ることができます。
公正証書によって、以前は出来なかった財産開示制度の利用ができるようになっているので、
今後の養育費を確実にもらうために、お金や時間などの一時的な負担をしてでも
公正証書を作成することをお勧めします。
×離婚協議書 → 養育費の強制執行をするためには民事訴訟などを提訴し、裁判所からの判決が必要
○離婚公正証書 → すぐに養育費の強制執行を申し立てることが可能
※「強制執行認諾文言」が入っていることが条件
強制執行認諾文言例
「甲は本契約に規定する金銭債務の支払いを履行しないときは
直ちに強制執行に服する旨陳述した」
ただ、元夫の収入・財産状況により、強制執行できないケースもあります。
本人が借金だらけで財産がない場合や、仕事を失って収入がないなど、
支払い義務のある人に十分な支払いができる資力が備わっていなければ、
公正証書に記載された通り差し押さえすることはできません。
一般的に公正証書に盛り込む内容
・親権 : どちらが親権を握るのか
・養育費 : 養育費の支払期間・毎月の支払期限・養育費の金額・支払先口座・手数料など
・面会交流 : 会う頻度、場所、条件など
・慰謝料 : 慰謝料が発生する場合
・財産分与 : 結婚後の財産(土地・家、車、有価証券、株、預貯金など)
・年金分割 : 結婚後の期間に応じた厚生年金などを、2分の1を分割譲渡する制度
・清算条項 : 離婚成立後、お互いに何も請求しないという意味合いの文書(蒸し返さない為)
私が実際に書いた文書例
あくまでも、参考として見てください。皆さんがもし公正証書を作成する場合は、
皆さんの譲れない条件を書き出したうえで文書を作成し、公証役場の公証人以外の
離婚のプロ(弁護士など)に1度は相談することを強くお勧めします。
私自身も下記文書を作成するときには、絶対に譲れない内容を漏れなく書き出し、
作成した文書に対して希望の内容が伴っているのか、弁護士相談を重ねました。
(離婚の合意など)
夫◯◯◯◯(以外「甲」という)と妻◯◯◯◯(以外「乙」という)は、
甲・乙間の未成年の長男◯◯(以外「丙」という)の親権者として乙と定め、
乙において丙を養育監護することとして協議離婚すること及びその届出は乙において速やかに
これを行うことに合意し、かつ本件離婚に伴う給付等につき次条以下のとおり合意した。
親権が私に来ることは明確だったので、ちょっと定型文書っぽい気もします。
親権で争うことになった場合は、重要な箇所ですよね。
(養育費)
甲は、乙に対し、丙の養育費として、平成◯年◯月から丙が満20歳に達する日の属する月
(平成◯年◯月まで)、毎月月末限り、月額2万円ずつを、乙が指定する金融機関の預金口座に
振り込む方法により支払う。振込手数料は、甲の負担とする。
将来に備えて、もし万が一物価の変動や失職などその他の事情の変更があったときは、
丙の養育費の変更について、誠実に協議し、円満に解決する
甲及び乙は、丙の高等学校、大学又は専門学校への進学、病気、怪我などによる特別費用については
別途協議し、その負担割合を定める
私の意向:2万円は少ない。状況によって、追加請求できる条件にしてほしい
元夫の意向:裁判所とか通して差し押さえしないで、まずは相談してほしい
(財産分与)
甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、金◯◯万円の支払い義務のあることを認め、
平成◯年◯月◯日、その金額を乙に支払い済みである
元夫は、離婚成立直前まで言うことが二転三転と変わっている上に、
お金に係る信用は一切なく、一度支払った財産も「やっぱりもっと欲しい」と覆される
懸念があったので、この内容を組み込みました。
(通知義務)
甲及び乙は、住所、居所、勤務先、連絡先(携帯電話番号含む。乙については甲の金銭債務の
振込先口座含む。以下「連絡先等」という。)を変更したときは、遅滞なく、変更後の連絡先等を
電話以外の適宜の方法により、相手方に通知するものとする。
雲隠れは許したくないので。
(清算条項)
甲及び乙は、本件離婚に関し、以上を持ってすべて解決したものとし、今後、慰謝料、
財産分与等名目の如何を問わず、互いに何らの財産上の請求をしない。
また、甲及び乙は、本公正証書に定めるほか、何らの債権債務のないこと及び甲乙以外の
者に本件離婚に係る甲乙間の合意を干渉させないことを相互に確認する。
義理親が、毒親でした。一切係わってこないことを条件に含みました。
(強制執行認諾)
甲は、本公正証書記載の金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨、陳述した。
嘱託人の住所、職業、氏名、年齢その他公証人法第36条による本旨外の事項は、以下の通りである。
※以下、甲・乙の住所・氏名・生年月日がそれぞれ記載されており、
運転免許証の提示によって人違いでないことを証明したこと。公証役場で公証人が承諾し、
押印したことが明記されています
・何度も話し合った結果を、絶対的な証拠として残したかった
・息子が成人するまで責任感を持って養育費を支払ってもらいたい
この気持ちを形にすべく、上記内容の含まれた離婚公正証書を作成しました。
育休期間中で時間の余裕があったので、インターネットで検索しながら文書のたたき台を作成。
元夫と話し合った内容や自分の希望が文書に抜け漏れなく含まれているか、
弁護士相談費用をかけて内容を見てもらいました。
離婚公正証書作成にかかった費用
弁護士相談料30分5,000円×2回=10,000円
公正証書作成費用20,400円
合計30,400円
離婚するのは大変と言いますが、離婚後だってそれなりに大変なことはあります。
もし本当に離婚成立に向けて気持ちが固まったのちには、
ご自身とお子さんの生活が安定する準備を出来る限りで整えてほしいです。
離婚後の生活で守ってほしい約束事を目にみれる形に残してしておけば、安心感にも繋がります。
また養育費が月20,000円だって、18年間継続して受け取ることができたら総額4,320,000円です。
少しの負担で、大きな金額が補償される可能性が高くなるので、
やっぱり公正証書を作成することはオススメです。
結論
養育費を確実に継続してもらうために
・強制執行付きの離婚給付契約公正証書を作成しましょう
・作成する場合、離婚のプロ(弁護士など)への相談がオススメ
・一時の負担や苦労はありますが、将来の安心に繋がります
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